帯にもあるように、これは、元マイクロソフト勤務の伝説的なプログラマーによる「超速時間術」の本。
Windows95開発グループ競争を逆転できたのは、普通とは違う時間配分からだった、というところから惹きつけられる。
わたしにとっては、最近稀にみるくらい「はまった」本だった。
まず、なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器であるの著者「中島聡」さんとはどういう人なのか?からみていこう。
中島聡さんとは?
受験勉強も効率化。高校と大学を2度受験するより、付属高校にはいって受験なしのエスカレータ式ですませたい!と早稲田付属高校を受験。
高校2年生でコンピュータに出会い、プログラミングをスタート。ゲーム制作からはじめ、やがてアスキー出版社へプログラムを持ち込むようになる。
しばらくアスキーでアルバイトをしていたが、やがてフリーのエンジニアとしてソフトを売るようになる。
史上初、家庭用のパソコンで動くCAD:CANDYを6ヶ月で完成。大きな人気を博し、学生の身で1億円を超えるロイヤリティーを受け取る。
ここでも、百聞は一見にしかず。言葉で説明するより、形にして見せる、というのが役に立ったという。
大学卒業後、大学院に進み、そのあとNTT研究所に就職。
しかし、NTT研究所に入社14か月したころ、Microsoft日本法人ができると聞き、転職。
3年半後の1985年に米Microsoft本社へ移る。
そこで、プログラマーとしてWindows95の開発に携わる。
ドラッグ&ドロップを世界に普及させ、右クリックの概念を現在の形にした人が中島さん。
その後、40歳の時にアメリカで起業している。
時間を効率的に運用し続けることのメリット
彼は、「天から与えられている時間は皆平等。だからこそ、時間を制する者が世界を制している。これが世界で成果を上げ続けている人たちの真実の姿だ」と語っている。
成功者と言われている人も、そうでない人も、実際に使える時間は1日24時間。
でも、それをどれだけ有効に使えるのかは人によって違う。
忙しい忙しいといつも時間に追われている人。
同じ職場で同じような仕事をしているはずなのに、なぜか余裕で仕事をしている人。
その差はどこにあるのでしょう?
そして、時間を効率的に運用し続けるメリットとは、どんなものなのでしょう?
この本の中で、彼は次のように述べている。
時間を自分の手の中に取り戻し、時間を最大限にまで効率的に運用し続ければ、もしかしたら2倍以上の能力差のある優秀な人たちをも出し抜けるのではないか、と思っていました。恐れるべきは失敗することではなく、自分の「やりたい」という思いに不誠実になることだったからです。
大人になってから、もっと勉強していればよかった、と思う人は多い。
優秀な人たちを前に、コンプレックスの塊になってしまって仕事をする気力も失せてしまう瞬間もあるかもしれない。
でも、時間を自分で効率的に運用できるようになりさえすれば、大逆転だってあるかもしれない!
読み進めるうちに、それが机上の空論ではなく、本当にできそうな気分にさせてくれる。
なぜ「仕事が終わらない」のか
- 仕事が終わらない、期日までに終わらない理由として、次の項目があげられている。
- (本の中ではもう少しシンプルにまとめてある)
- 仕事にかかる時間の見積もりができない、甘すぎる
- 締め切り間際にラストスパートをかけてしまうような仕事の仕方をしている
- 「徹夜した」ことで「仕事した」気分になっている
- 自分なりの工夫やアイディアを優先するあまり、一定のクオリティが保てず全体の計画に支障をきたす
(能力が成果に見合わない) - 仕事の期日が明確でないため、計画が甘い
…ということは逆に、これらを改善すれば「仕事が終わる人」になれる!ということでもある。
本当に間に合うのか?
その仕事が期日までに間に合うか?
それが自分の中でその時点でわかっているのか、が問題になる。
仕事をやりながらわかる、ギリギリになって気付く…だと、リスク管理がなさすぎ。
「もう少し早く相談してよ」と上司に言われる、もしくは不機嫌な顔をされるのだとしたら、いつもの判断は遅すぎるのだということ。
間に合わないかも、というリスクは、自分にしか判断できない。
だからこそ、わかった時点で上司に相談すべき。
また、仕事のクオリティにこだわるあまり締め切りを守れないというのは問題外。
クオリティが低くて怒られることよりも、締め切りを守れずに「時間を守れない人だ」という評価をされることを恐れてください。
この本の中では、具体的にプログラマーとしてのクオリティと締め切りの考え方が紹介され、さらに、Windows95開発で自分たちのグループが主導権を握るようになったポイントがここにある、というような話も紹介されている。
プロとして仕事をするための時間管理
例えば「どうしようもない理由」で仕事の約束を果たせない可能性が出たとき。
ここでは、「パーティーの花を準備するという仕事を頼まれていたが、雪のために配達が遅れることになった。」という例があげられている。
この「遅れる」という事実をただ上司に伝えるだけなら、子供でもできる。
パーティーのスタートに花が届いていないなんて、とんでもないこと。
花屋に注文することが仕事ではなく、その時間に花を準備するのが仕事であれば、どんな理由でも果たすべき。
この対策について異論もあるようだが、わたしはこの考え方に深く同調する。
仕方ないじゃない、なんて思う人は仕事というものを勘違いしている。
本の中で出てくる「待ち合わせ」の例についても。
このあたりはご自身で確認してほしいので、詳細はあえて割愛することにしたい。
時間を制する者は、世界を制す
時間を制すると、
あらかじめ起こり得るリスクを予測することができる
まず「大枠」を作り、全体を俯瞰したり相手に伝えられるようになる
誤差、ハプニングに対応できる
まずは形にして、余った時間でゆっくりクオリティを高める、というほうが仕事の効率があがる、というのが彼の持論。
つまり、この本では「ロケットスタート」をかけることこそ、「仕事を終わらせる」だけでなく「成功に導く仕事をする」ために大切なことだと繰り返し語っている。
具体的な手法については、ぜぐ、実際にこの本を手にとって読んでみてほしい。
坂本 実千代
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